自生地の菌ネットワークを構築する
                     共生栽培法


    菌従属栄養、部分的菌従属栄養のラン科植物、地生野生ランのほとんどは、
    枯れ落ち葉の堆積した木材腐朽菌のネットワークの中で生息している。
    共生菌の多くは木材腐朽菌である。
    このことから、下記のようにペレポストを用いれば「共生栽培」が可能である。

  
    1 自生地の近くに移植する場合。

        〇  半年前に栽植予定地にペレポスト2号ゴールドを約5㎝の厚さに撒く。
        〇  雨水により膨張し、多くの菌が生息し・・・熟成状態になる。
        〇  この場所に浅く穴を掘り・・・ラン株を植える。
            (無菌培養株、ナノ銀水溶液で無菌にした株、共生菌接種株・・・を植える)
            (自生地から掘ってきたそのままの株…を植える)

    2 自生地でない庭、鉢などに移植する場合。

        〇  自生地から少量の土壌(共生菌が生息している土壌)を採取して、ペレポスト2号ゴールドにミックス。
        〇  栽植する場所、鉢などに約5㎝の厚さに撒き、灌水する。
        〇  約半年後、この場所に植える。


    以上のようにすると、共生菌、他の菌がペレポストに生息繁殖し、
    自生地と同じような菌ネットワークが構築される。

    ペレポストの原料が、広葉樹、針葉樹の樹皮なので、自生地の地表の枯れ落ち葉の堆積した状態と、
    同じような菌ネットワークを作ることが出来る。
    樹皮のリグニン、セルロースは枯れ落ち葉より分解が遅いので、菌ネットワークを永い期間持続させることが可能である。




   


    自生地の共生菌「共生培養」の方法

      ペレポストの「パック」を作る。
        不織布「Neoーマモール」などで10㎝四方のパックを作り、この中にペレポスト2号ゴールドを入れる。
        水に浸して膨張させたものを、自生地の株の近くの土壌の中に埋める(深さ5㎝程度)
        約半年から一年放置する。
        ペレポストに、ランの共生菌、他の菌が生息繁殖する。
        このパックの中にランの種子を播く・・・。
        ラン菌が生息していれば・・・・ペレポストに中で発芽し、プロトコームが見られるようになる。
        この播種したパっtクを再度株の近くに埋める方法と、別な鉢で培養する方法がある。
        別な鉢で培養する場合は、このプロトコームを・・・・熟成したペレポストに・・・埋め込む。
        発芽を始める・・・。


            非常に高い確率で、野生ランの実生苗を得られるので、自生地がある場合は、この方法が面白い。
            ペレポストが能力を発揮できるのは、こういう使い方が出来るからである。
            他の用土では、自生地における枯れ落ち葉内の木材腐朽菌のネットワークを作ることはできない。
            つまり、人為的に「炭素循環」で低分子の糖、ぶどう糖を土壌内に作ることが出来ない。
            自然界では、ランの種子にエネルギー源の糖を、人為的に供給することが出来ないが、
            このペレポストのパックでは、供給することが可能である。

            











        
     

キンランの自生地には「枯れ落ち葉」が分厚く堆積している!
菌ネットワークが構築されている。
毎年、鉢の表面に枯れ落ち葉が舞い落ちるように・・・
ペレポストをパラパラ撒いている。

5年同じように栽培したエビネ。
全然作落ちしない。

キンランの自生地にも、毎年枯れ落ち葉が舞い落ちている!
下のデンドロの大きさと比較してください。
 ペレポスト 2号ゴールド栽培のシンビジューム。
 無肥料で・・・巨大な株に生育。

 温室内に地植え栽培。
 夏、40℃以上の日が約60日続いても、
 夏負けしなかった!

 ラン菌削除のコンポスト、水ゴケ、バーク、軽石栽培では、
 無肥料では、こういう生育にならない。
クマガイソウ、キンラン栽培法

    菌従属栄養植物、部分的菌従属栄養植物の栽培法

    共生菌と、自生地の菌ネットワークにていての考察。

  エネルギー調達ルートの光合成を放棄した植物。
 光合成エネルギーの足りない分を別ルートで調達することにした植物。

 主流から越脱したような植物に・・人間から見られるが、
 人間の科学的知見の方が、狭隘な視野なのかもしれない・・・。
 植物が生き残る戦略の一つと考えた方が理に適っているのかもしれない。
 人間社会も・・・今は・・・主夫があちらこちらに存在する時代に変化している。

 菌従属栄養植物、部分的菌従属栄養植物は、
 一口に言えば植物のエネルギー確保、調達のシステムの多様化である。
 植物が生き続けるためのエネルギー源の「炭素」。
 この炭素が、炭酸ガスとして大気中にある。
 この大気中の炭素の他に、もう一つ別な場所に炭素が存在していた!
 これに気付いて、この炭素を利用して生きるjことを編み出したのが菌従属栄養植物である。
 枯れおり葉、植物組織の死骸の中のリグニン、セルロースの炭素。
 木材腐朽菌は、酵素で高分子炭水化物のリグニン、セルロースからぶどう糖、糖質を生産している。
 この糖に目を付けた・・・異能の植物群が菌従属栄養植物である。
 光合成の糖と、木材腐朽菌が生産する糖の二つの調達ルートを編み出したのが部分的菌従属栄養植物である。
 こういう見方をすれば、光合成のみのエネルギーで生きる植物より、
 合理的な生き方にも見えてくる・・・。
 より早く・・・より大きく・・・より重く・・・より多く・・・という進化は、
 より多くのエネルギーを必要とするからである。
 こういう植物は、農業、園芸の目指した方向と合致しないから、相手にされない、見捨てられてきた植物である。
 多収穫出来ない植物である。
 珍品としての価値????

 しかし、近年、こういう炭素調達システムが、実は他の植物でも行われているのではないか。
 そういう知見が出てきた・・・。
 特に多年草植物において、光合成のエネルギーのみで、何千年も生き続けている植物が・・・・
 本当に生きられるのか????
 そういう疑問である。
 光合成を多くさせて増収する一つの方法として「炭酸ガス施肥」というものがある。
 空気中の炭酸ガス濃度を高くすれば・・・より多くのエネルギーを作り出せるという理論である。
 これに加えて、菌従属栄養植物と同じように・・・
 枯れ落ち葉からぶどう糖を生産する木材腐朽菌を共生菌にして、
 菌糸を利用して根からぶどう糖を給させるという理論である。
 宇井 清太のペレポスト開発で、多くの植物の栽培例では、
 ラン科植物のみでなく、多くの植物において「炭酸ガス施肥」と同じような生育が見られる。
 写真参照。
 多年草植物は、芽生えた場所で何年も生き続けな刈ればならない。
 動物のように・・・移動することはできない。
 光合成に悪影響の年でも、環境が変化した場所でも・・・どうにか生き続けなけr場ならない。
 生存の限界を越えるまでは・・・生き続けなければならない!
 こういう生物の本質が、一つのエネルギー生産システムにのみ依存してきたのか?
 高いリスクの中で何億年も生きてこれたのか????
 安全神話の原発が・・・事故になった。
 植物は、こういう安全神話で進化してきたのか。
 それとも、自然は優しくはない。常に光合成を阻害している。
 だから、別なエネルギーを準備しておかなければならない。備えあれば憂いなし・・・。
 そういう理念で進化してきたのか。
 そういう進化の中に潜む理念の問題。
 人間は科学を過大評価する。植物工場などはその一例である。
 植物の光合成阻害要因を・・・全て排除した設備で栽培すれば・・・多収穫出来る!
 多年草植物は・・・どちらを選択したのか。
 ペレポストの炭素循環栽培法は、菌従属栄養植物のエネルギー調達システムからの考察である。
 ただ単に、水ゴケ、バーク、軽石に代わるコンポストとして発明開発したのではない。
 右写真のような生育は、日本のラン界、園芸界で経験したことのない姿である。
 この生育を、これまでの栽培理論では説明不可能である。
 肥料では作ることのできない姿である。
 木材腐朽菌による炭素循環栽培理論であれば・・・容易に説明可能である。
 植物栽培は実証こそ真理である。
 論より証拠である。
 






 野生ランを山から掘ることは、誰でも簡単に出来ることである。
 しかし、一度絶滅した自生地を再生することは難しい。
 なぜ、難しいのか???
 その中でも、「菌従属栄養植物」「部分的菌従属栄養植物」のラン科植物は難しい。
 このことは、ラン科植物の種子は無胚乳種子である。
 このエネルギーを具備しない種子が、発芽するときどこからエネルギーを調達しているのか?
 光合成を止めた菌従属栄養のラン。
 更に、生き続けるために必要なエネルギーを自ら作れない部分的菌従属栄養のラン。
 これらのランは、無胚乳種子のエネルギー調達システムを生長しても・・・・パクって生きている。
 このエネルギー調達に関わる共生菌が、発芽時の菌と、生長してからの共生菌が、
 異なるという知見がある。
 ということは、自生している所に、多くの菌が生息していることになる。
 どうして、ランはエネルギー調達にそういう複雑なことを行っているのか???
 逆に、もっと大きな菌ネっワークがあるのかもしれない。
 キンランの三者共生なども、必ずしも絶対のエネルギー調達ルートではないのかもしれない。
 ラン科植物は・・・ほとんど「部分的菌従属栄養植物」なのかもしれない。
 これまでの培養土に、エネルギー問題が欠落していたから、それなりの生育になっていたのかもしれない。
 事実、ペレポスト栽培では、これまでの、いかなる用土でも見ることが出来なかった生育、花もちが見られる。
 強大な株が見られる。
 これまでの知見では、この驚愕の生育を説明できない。
 ラン菌との共生が発芽時のみとする・・・独立栄養植物とするラン理論では、
 説明できない事例が見られる。
 逆に、こういうランでも、光合成が足りない場合、ラン菌を利用してエネルギーを調達しているすれば、
 ペレポストの驚異の生育は容易に説明できる。
 肥料では説明できない驚異的生育も説明できる。
 ぶどう糖をランはどうやって調達しているのか。
 葉のあるランも、葉のないランも・・・・エネルギー不足は同じなのではないか。
 植物にとって十分な光合成などないのではないか?
 一般のランが、発芽するときだけ菌を利用する???
 そんな事・・・本当にあるのだろうか???
 例えば、キンランは発芽するときは別な菌で、葉を出したら三者共生の菌で・・・・
 そんな巧妙な、劇的な・・・・×1のような離婚劇を演じているのか?
 3股、4股、5股・・・・もあるのではないか。
 光合成負け組植物のランが、生き残るためには・・・そういう共生もあるのかもしれない。
 菌ネットワークの活用共生である。
  
 ランの研究では、ランが特別な植物のように考えて共生菌を見たり考えたりするが、
 ランの自生地には、同じところに他の多数の植物も自生している!
 つまり、同じ菌ネットワークの中で、多くの植物も生き続けている。
 ペレポストで栽培してみると、枯れ落ち葉の中に自生する植物は、ほとんど作れるうえに、
 素晴らしい生育をする。
 このことは、ほとんどの植物が十分な光合成が出来ない環境の中で生き続けていることを意味している。
 日本の場合は、夏負け・・・という姿で現れてくる植物が多い。
 多年草植物は、夏の期間のエネルギー不足が、翌年に大きく影響する。
 多年草植物で未来、翌年のことを考えないものはない。
 まして、葉のない腐生ラン、菌従属栄養植物なら・・・なおさらである。
 一つのエネルギールートに依存することが、いかに危険なことであるか知らないということは考えにくい。
 環境に適応したものが生き残る・・・という自然の法則であれば、
 エネルギー確保こそ・・・もっとも重要な環境要素である。
 多くの調達ルートこそ、地球の地表で生きる上での環境適応能力であろう。
 共生菌も一つに絞ることは非常にリスクが高い・・・。
 菌は環境の変化に・・・非常に弱い場面があるからである。
 共生菌に遷移が起これば・・・・直ぐに生きられないことになる・・・。
 菌従属栄養植物が・・・環境に敏感であるといわれているが、本当に一つの菌に生命を依存しているのか???
 共生菌の研究は一部分は正しいかもしれないが、全体像が不明である。
 菌ネットワークという全体像が・・・。
 

 共生菌のことが良く分からない。
 共生菌を共生させた株を植えても、良い成果が得られない。
 自生地を再生できない・・・ということが多い。
 更に、キンランのように、三者共生の部分的菌従属栄養植物の場合は、もっと謎めいている。
 本当に、三者共生でなければキンランは生き続けることが出来ないのか・・という疑問まである。
 三者共生どころか無菌播種で発芽するからである。
 そして、無菌播種で育成された苗は、その後三者共生ではなく、共生菌削除の培養土でも生育する・・・
 という実証が出てきた。
 これが本当であれば、キンランのエネルギー調達が、光合成のみの場合があるということになる。
 しかし、自生地再生できるかといえば、ほとんど出来ない・・・ところに自生地再生の難しさがある。
 実験栽培場で短い年月出来ても、自然界では成功しない・・・。
 ラン科植物は多年草である。
 一年草植物と多年草植物の違いが出てくる。
 何年も同じ場所で生き続け、増殖しなければ「成功」と言えないからである。
 ラン科植物の自生地再生の最も難しい場面は、維持、継続、増殖である。
 
 多年草のラン科植物を自然界に栽植した瞬間から、
 共生菌でない他の微生物の影響を受ける。
 「共生培養」であれば、他の微生物の影響を受けない環境、条件下で行うことも出来るが、
 「共生栽培」では、自然の中での栽培である。
 植え付後、何年、何10年も、他の微生物の影響を受けながら生き続けることになる。
 この間に微生物の遷移も当然起こり得る。
 植えた当初、共生菌が優占したエリアも、30日後には他の菌が優占していることもあり得る。
 それが一年後ということもあり得る・・・。
 肥料を与えれば・・・更に激しく遷移することも考えられる。

 なぜ、こういうことを記するかといえば、
 現在の菌従属栄養植物、部分的菌従属栄養植物の研究は、
 植物の根を調べて、観察して、特定の「共生菌」を見つけ出すもの。
 この共生菌を純粋培養して・・・・自生地再生に利用する・・・。
 しかし、こういう研究では、自生地における菌ネットワークが欠落、削除されている。
 なぜなら、ラン科植物の自生地というのは、共生菌のみ優占している土壌ではない。
 共生菌も、他の菌の影響下、ネットワークの中の一員として生きている。
 人為的に、他の場所、培養土で育成された「共生培養」された苗が、
 突然、山に栽植された場合のことを想定すると、
 共生菌は同じであったとしても、植えられた場所の菌ネットワークが、
 自生地のそれと全く異なるということが起こり得る。
 こういう場合は、共生菌は短時間の間に死滅する場合もあり得る。
 自然の山では、栽植地を無菌にすることは不可能である。
 一時的に殺菌剤などで処理しても、短時間の間に菌遷移が起こる。
 
 この菌ネットワーク、菌遷移の問題を解決しなければ、自生地再生は難しい。
 たまたま成功する場合もあるが、その成功率は非常に低いものとなり、
 実用的には信頼性が無い。
 つまり、栽植した場所の菌ネットワークが、自生地のそれと同じであって、
 しかも、長い年月持続するようでなければ、自生再生は成功しない。
 そういう培養土があるのか????
 おそらく、宇井 清太の開発した「ペレポスト」が、可能性を秘めている培養土であろう。
 ペレポストは特許取得済みであるから、今後、菌ネットワークを再現した培養土は生まれない。
 つまり、菌従属栄養植物、部分的菌従属栄養植物のラン科植物の自生地再生は、
 「ペレポスト」以外では、自生地の菌ネットワークを人為的に構築することは出来ないから、
 ・・・・不可能かもしれない。
 
 


 




ペレポストを開発してから10年経過した。
この間、多種多様な植物での実証栽培がおこなわれてきた。
その栽培試験で解ったことがある。

枯れ落ち葉の中に自生するほとんどの植物が、素晴らしい生育をする。
ペレポストはラン科植物の培養土として開発したものであるが、
共生菌又は、菌ネットワークで生きているのはラン科植物のみではなく、
多くの植物は、共生菌、または、菌ネットワークの中で生き続けてきた。
ラン科植物という狭い範囲の植物に焦点を合わせると、どうしても「共生菌」に重点が置かれる。
そのため、必ず、一つ一つの共生菌を分離して考察が行われる。
分離した共生菌との共生培養の手法が行われる。
こういう試験の論文は非常に多いのが、実際の栽培現場、自生地再生現場では、
ほとんど実用化されていないようである。
大学等ではペレポストでの実験、研究は皆無であるが・・・
ペレポスト以外の培養土での野生ラン、菌従属蘭、部分的菌従属蘭の栽培は、
栽培現場ではほとんど成功しない。
自生地再生もほとんど不可能である。
その原因は何処にあるのか。

ランの自生地における「共生菌」は、地表で、土壌中で単独に生息しているのではない。
ラン科植物の自生地には「枯れ落ち葉」「植物死骸」があり、そのエリアには、多くの微生物が生息している。
菌のネットワークが構築されている。
ランの共生菌も、ネットワークを構成する要素菌の一つである。
無菌培養で作られたラン苗に、共生菌を接種して、鉢、山に移植、植えても、
その場所に、蘭自生地の菌ネットワークと同じものが構築されていなければ、
ほとんどの場合、失敗に終わる。
これまで、共生菌とランの関係の研究はは、
この菌ネットワークという自然界の原則を削除した中で行なわれてきた。
ラン栽培は、ほとんど自然の中で行われるから、
短い時間の中で、多くの菌が生息し繁殖するようになる。
ランも共生菌も、他の菌から影響を受けるようになる。
つまり、自生地に見られない菌ネットワークのエリアに植えられた場合は、
ランの共生菌が優占菌にならない場合は、ランは生育不良、枯死することになる。
「共生培養」は可能かもしれないが「共生栽培」は、ほとんど不可能な場合がある。
自然界では、医薬品を作るような「純粋培養」が出来ない。
純粋の菌が、植物の生育を良好にしない場合がほとんどである。

絶滅危惧種の貴重な野生ランの自生地再生、繁殖には、
「共生菌」培養、「共生培養」に加えて・・・・
共生菌を含む「自生地菌ネットワーク」を再現した「培養土」での栽培でなければならない。
自生地における菌ネットワークの研究は、菌と菌との関係は、ほとんど知見が無く、
未知の領域である。
しかし、ランの共生菌は、ランとの関係のみで生きているのではなく、
他の菌とも密接に関係、共生して生きている。
キンランなどの三者共生の共生菌も、共生する樹木との共生のみで生き続けているのではない。
樹木の根は、他の多数の菌も生息している。
その他の多くの菌が、どのような関係を持っているか・・・。
キンランの種子も無菌培養で発芽する。
これは、種子発芽ステージでは、他のラン科植物の種子発芽と変わりはない事を意味している。
無菌播種で得られたキンランは、その後、三者共生でなくとも生育する。
こういう知見が出てきた。
つまり、これはキンランは「部分的菌従属植物」であることを意味している。
葉の光合成で作る澱粉、エネルギーで生育できるということである。
こういうことなら、他のランと変わらない!
問題は、葉で十分な光合成が出来るか、出来ないかである。
出来る場合は・・・・共生菌が必要ない。
出来ない場合は・・・共生菌が共生する樹木から「炭素」を間接的に調達する。
ここで一つの疑問が出てくる。
自然界において、キンランの種子は本当に三者共生で構築されている炭素調達ルートのみなのか????
他に別な炭素、エネルギー調達ルートが存在するのではないか・・・という疑問。
キンランの種子が無菌培養で発芽するということは、
共生樹木が作る炭素でなくとも良いことを意味しているからである。
キンランは、本当は、樹木が作る炭素と、木材腐朽菌が枯れ落ち葉から作る糖も利用しているのではないか?

こういうことであれば、これまでの実験で使用した「用土」と「栽培技術」の問題。
研究論文では、この最も重要な点が、正確には記されていない!
つまり、キンラン用に特別に作られた「用土」の研究がない。
適当な「用土」での栽培での結果である。


こういう事例は「クマガイソウ」でも見られる。
クマガイソウも実験室では「無菌播種」で発芽する。
この苗を・・・フラスコの外に出して順化させ、生長させることは困難である。
なぜなのか???
クマガイソウの自生地のラン菌を含む「菌ネットワーク」が構築されている「培養土」を作れないからである。
こういう・・・仮説を宇井 清太は立てて、ペレポストで10年研究してきた。
ペレポストは、他の洋蘭の多くの種で、「菌ネットワーク」で「共生栽培」に成功しているからである。
つまり、世界で初めて、ランの自生地を再現できる「培養土」である。
その結果が出てきたので記する。

右写真

 2015年
   1芽 花付き
   1芽 葉芽
  山堀株をペレポスト2号ゴールド 熟成用土に植えた。
  ペレポスト2号ゴールド熟成用土
    半年前に水分を与えて膨張させ、木材腐朽菌を繁殖させた。
    この期間に、木材腐朽菌の繁殖と共に、空中から他の菌が落下し、
    多くの菌が生息している。 
    しかし、木材腐朽菌が優占菌となって、菌ネットワークを構築している。
    山堀の根に生息していたクマガイソウ共生菌も、
    ペレポストに生息している。

   実際の試験栽培現場では、ペレポストに木材腐朽菌が生息しており、
   他に菌も、ペレットの養分、木材腐朽菌がペレットを分解して作る糖をエサに生息し、
   クマガイソウ共生菌のみ純粋に生息している状態には出来ない。
   それが自生地の条件である。
   こういう条件下で栽培した。

 2016年
   2芽 花付き
   2芽 葉芽
   
 一年後2倍に増殖した。



ラン科植物は多年草である。
同じ場所で何年も生き続けなければならない!
光合成のみのエネルギー調達ルートのみで生き続ける進化をしてきたのか?
キンランは、本当に三者共生のエネルギールートのみで生き続ける進化をしてきたのか?
キンランは「枯れ落ち葉」の中に自生しているが・・・枯れ落ち葉は関係ないのか???
右写真のクマガイソウの増殖エネルギーは、前年の葉の光合成のエネルギーのみで生まれたのか?
宇井 清太は、複数のエネルギー調達ルートを構築していると思っている。
クマガイソウも必ず葉を出すとは限らないからである。
そういう株でも・・・地中では翌年の芽が形成されているからである。
これはアツモリソウでも見られる。
キンランのプロトコームも・・・・本当に三者共生樹木の作った炭素源のみなのか?
前記の無菌播種の苗は、三者共生でない場合でも生育する。
そういう知見が出てきたということは、他のエネルギー調達ルートが存在することを示唆している。
そういう見方が自然であろう。



他のエネルギー調達ルートの存在についての実証例

   これまでのラン栽培用の培養土で、共生菌を添加しても、
   自生地におけるような「枯れ落ち葉」が無いから、
   共生菌がどんな働きをしているのかわからない!

   右写真は、ペレポスト2号ゴールド栽培のシンビとエビネである。
   ペレポストには、ラン菌のみではなく、他の多くの菌も生息している。
   つまり、自生地における「菌ネットワーク」が構築されている。

   宇井 清太の発見した木材腐朽菌は、
   個々のランのラン菌ではない場合も考えられる!
   しかし、ほとんどのランにおいて、これまでの培養土では望めない素晴らしい生育をする。
   ほとんど「夏負け」しない。
   この巨大な株は・・・共生菌を・・これまでの用土に入れても・・・出来ない!


   キンランの三種共生の知見は、どんな用土で試験していたのか???
   論文では、全然わからない。
   つまり、クマガイソウでも、無菌培養でフラスコで発芽が出来るが、
   ペレポスト以外の培養土で植えるから、全然育てられない!
   共生菌が共生菌として働くには、自生地をそっくり再現したものでなければならない。
   枯れ落ち葉を削除した培養土では、試験結果が信用できない。
   これまでの培養土には「炭素循環」が欠落しているからである。
   キンランの光合成不足分を補完する炭素源が無いからである!

   普通の用土で栽培した場合は、光合成の補完ルートは、
    樹木光合成エネルギー→共生菌→キンラン +  キンラン光合成エネルギー  。
    同じ鉢に共生菌が共生する樹木を植えなければならない。
    


   ペレポスト栽培のキンラン光合成補完ルートは
     ペレポストの木材腐朽菌が作るエネルギー + キンラン光合成エネルギー。

   または
     ペレポストの木材腐朽菌が作るエネルギー + キンラン共生菌エネルギー
     + キンラン光合成エネルギー



    ペレポストにキンラン共生菌が生息しないこともあり得る。
    この場合は、ペレポストにキンラン自生地から採集した土壌をミックして、
    水分を与えて約半年熟成させる


     
  宇井 清太のペレポスト栽培は、自生地の「枯れ落ち葉」を重視した、
  木材腐朽菌による「リグニン」「セルロース」を分解した生まれる「ぶどう糖」を、
  光合成補完炭素源とする栽培法である。
  これまでの培養土には「枯れ落ち葉」「木材腐朽菌」が欠落しており、
  これを使用した試験は信用できない部分がある。
  この問題で、共生菌を研究しても、栽培現場で成果が出ないことが考えられる。

  更に、マヤランが数年で、衰退する理由が、「枯れ落ち葉」の減少による木材腐朽菌の衰弱、
  糖生産減少が考えられる。
  多年草のラン科植物が、短年月で衰退するのは、
  木材腐朽菌の衰退による菌ネットワークの崩壊も考えられる。
  なぜ、こういうことが考えられるかといえば、ペレポスト栽培では、
  約2年間は素晴らしい生育になるが、新たなペレポスト補充が無い場合は、
  株が次第に衰退するからである。
  ランの自生地では、温帯地方では、必ず秋に新しい枯れ落ち葉が地表に舞い落ち、
  それがエネルギーの維持となり、菌ネットワーク持続させているからである。
  キンランは、右写真に見られるような「枯れ落ち葉」を・・・・この糖を・・・
  本当に利用していないのか!
  本当に樹木が作る糖と光合成の糖で生きてきたのか!
  









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